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2009-08-08 [研修報告]


新版 東京漂流 (新潮文庫)

新版 東京漂流 (新潮文庫)

  • 作者: 藤原 新也
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1990/06
  • メディア: 文庫


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「人の喜怒哀楽が見えにくくなっていた。人の魂が見えにくくなっていた。
人の生も死も見えにくくなっていた」(「小さな黒魔術」)

高度経済成長期を境として「消費が美徳」という時代がはじまり、
生活の利便性は大きく向上した。
その一方で、「人間的なもの」は管理され、次第に隠蔽されていった。
隠蔽された「人間的なもの」は出口を失い、不自然に与圧され、
やがていびつな形で社会の中に突出してしまう。

1980年代という時代が、生と死をキーワードとして、
鋭く、硬質かつ端正な文章で鮮やかに解析されている。

そして、解析の過程で狂言回しとして登場する東京の情景にも強く惹かれた。
不感症を癒すための写真雑誌と、土砂降りの赤坂の街。
喧騒の中、いくつもの社会を乗せてぐるぐる回る山手線。
無機質で乾燥した芝浦の町に流れる運河。
どれも、僕が幼いころに思い描いていた東京そのものだ。

現在も、時代の暗部の肥大化は進んでいて、その突出は
頻度といびつさをさらに増しているように思われる。
それでも、夜中、豚が人知れず芝浦の道路を運ばれていくように、
隠蔽のシステムはずっと続いていくのだと思う。
システム自体が、その暗部に飲み込まれてしまうときまで。

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ちなみに先日、芝浦で超激美味しそうなホルモン屋を見つけた。
どなたか、一緒に行きまっしょい!



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